37.偽りなき決戦へ

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「炎を防げない!」

「前線に風の防御壁は無理だし、長時間は無理! 避けるしかないよ!」

「炎の攻撃が邪魔で接近できない。攻撃が火竜まで届かない」

「困っ~た~わ~ね~」

「どうしたら、いいかな」

「決定打がない。このままじゃ、僕達の命どころか、街まで火の海になってしまう!」

「それは、絶対に避けたい! ボクの風でコンスとゲイルを火竜の側までふっとばす! なんとかして!」

「んな、無茶な!」

アルルの言葉にコンスの開いた口が塞がらない。

「無茶しなきゃ、勝てないよ!」

「僕、死ぬかも……先に天国で見守ってるから……」

「弱気だな。俺と一緒なら死ぬわけないだろう」

「あ~ら~いろ~ん~な~フラグ~たっ~て~る~わ~」

死ぬなゲイル。頼むよ。そして、コンスとゲイルの薄い本が出ないことを祈ってるよ。嘘だけど。もし、出たら薄い本は、作者公認だから安心してほしい。作者は薄い本は基本読まないけどね!  送ってくれたら読むよ!

「とにかく、行くよ!」

コンスとゲイルがアルルの風の力によって、渦巻く炎の中に投げ込まれた。投げ込まれた瞬間、コンスにはカリュの怒りと悲しみと絶望が流れ込んできた。

『クレア! クレア! クレア! なぜ死んでしまったんじゃ! お主が生きていなければ意味がない! なぜ、子供を産むことで命を無くす可能性があることを言ってくれなかったんじゃ!』

コンスの心が絶望に染まり、動けなくなった。コンスには精神感応の能力があるようだ。

「コンス!」

止まっているコンスに炎が襲いかかった。ゲイルがコンスを庇い、もろに炎の攻撃を喰らった。ゲイルは黒こげになっていた。

『ね、カリュ。あーし達の子供もこの辺一帯も燃やしつくすつもり?』

突然現れた金色の淡く光る球体がカリュに纏わりついた。

『元からあーしはカリュよりすごく早く寿命が尽きるしー、ちょっと早くなっただけじゃん。子供をお願いね』

「クレア……」

『愛してる、カリュ』

過去形じゃないよ、ずっとだよ、とクレアは最期の言葉を残し消えた。

「いかないでくれ!」

カリュの叫びは虚しく虚空に消えた。同時に淡い光が消滅すると、カリュから発せされる炎が消えた。そして、人型になった。暴走は収まった。だが、カリュの顔はまるで能面のようだった。表情が一切ない。

「子供はどこじゃ」

「今のあなたに任せるわけにはいきません!」

マールが赤ん坊を庇うように抱いていた。

アルルは座り込んでいた。炎を街に近づけさせないために、風の壁を張り続けていたのだ。力を使いすぎたせいか、髪の毛の先がうっすら緑色に透けていた。

「微弱に精霊の気配がすると思ったのじゃが、先祖返りじゃったのか、風の精霊の子孫。名はアルルといったな」

アルルに向けてカリュが言い放つ。感情がない。

「ゲイル! しっかりしてくれ!」

コンスが叫んでいる。全身火傷を負っているゲイルをみたマールが駆けつけた。カリュもその後を追った。

「回復魔法を使っても、もうダメじゃな」

「ゲイル……!」

マールの瞳には大粒の涙が浮かんでいた。

「じゃが、見たところ、身体の半分が鉄で炎の耐性がありそうじゃ。この者が息絶えそうな原因の責任はわしにある」

『火竜の加護を与える』

ゲイルの身体が赤く染まった。そして、黒こげだった生身が肌色に戻った。驚いたことに半身は機械ような鉄の身体だった。上手に隠されていて機械だと外側からわかることはなかった。

「その者が起きたら、伝えてほしい。火竜の加護は、炎を無効にする、炎を出すなど、わしの準じた能力を使うことができる。わしが死んでもお主が死ななければその加護は消えることはない。強力な能力じゃが、呪いにもなる。心して使え、とな」

「それと、わしはもう正気じゃ。我が子を抱かせてくれないか?」

マールにカリュが頼む。今度は子供をすんなり渡した。

「女の子か。愛らしいな」

カリュが顔を緩めた。娘が可愛くて仕方ないという顔だ。

「あぅあー」

子供もカリュが好きなようだ。赤ん坊は笑顔だった。

「この子を守らねばならぬ。領主の元に行く」

ここからが、カリュの戦いだった。クレアが死に、この子がいることに領主は納得しないだろう。カリュはこの子のために、この子が生きていくために、しなければならない戦いがある。クレアの願いのままに。そして、己のカリュの願いのために。この子が快適に育っていく環境を作るために、カリュは親としてしなければならないことがある。

「わしは、クレアの分まで、この子を愛してやるんじゃ。でなければ、クレアが浮かばれん」

カリュの瞳には涙がうっすら浮かんでいた。

「悲しんでいる暇などない。この子を一番に考えなければ。勇者達よ。協力してくれるな」

ボロボロの勇者達ははっきり断る。

「無理です。とりあえず、ゲイルを休ませる場所ください」

「アル~ル~も~ヘ~ルン~も~無~理ね~」

「領主に話をしてくれるだけでいいのじゃ」

「三人を休ませる場所があれば、僕とマールなら行けると思います」

「わしらのせいですまぬが、最後まで付き合ってほしい」

「ここまできたら、そりゃ」

「ボクも行けるよ~ボクはいた方がいいよ~」

「アルルはあんまり無理しないほうが……」

コンスがアルルを止めた。ただ、マールと二人は少し不安なのか、アルルを強く止めることはしなかった。

「領主は曲者なんでしょ。ボクはもう大丈夫。行こう」

こうして、怪我でボロボロのゲイルと、茫然自失のヘルンを置いて、領主の館へ残り三人は向かったのだった。

 

 

 

 

 

 






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