塙の中心、お腹の部分には アルルが風を当て続けている。幸いにも晴れてきた。
「コンス! 避けろ!!!」
俺は爆弾を投げた。
「アルミーあぶなっ!」
「だから、声かけてやってんだろ! ほら、塙襲ってきてんぞ! アルル、爆弾爆発したら◎のとこに速攻風攻撃しろ!」
「えらそーに!」
アルルとコンスは切れ気味だ。そんなの俺の知ったこっちゃない。ただ、二人はそれでもきちんと自分の仕事をしている。俺だったら切れてどっかに行ってるな。
よく見ると塙のお腹には◎のマークがある。そこ目掛けて投げろってことだろ、たぶん。レディが核のありかは真ん中って言ってたしな。
「ほら、爆弾もう一回いくぞ! ちゃんと避けろよコンス!」
「全く! アルミーは人使い荒すぎる!」
コンスが吐き出すように言った。ずっと疲れ知らずの塙と戦って消耗している。少し労うか。
「もう少しだ! がんばれ!」
「何をする気?」
「ほらっ、余所見すんな!」
コンスが気を逸らしたので、すかさず注意する。ちゃんとした奴に言えるのはこういう時くらいだからな。俺は、性格悪くなんてないからな。嘘だろっていうツッコミはなしにしてくれよ!
「なんか、お腹の◎のとこ、脆くなってない?」
風を当て続けていたアルルが言った。
「もう一発爆弾いったら、アルルは待機、コンスはお腹のところを思いっきり叩け!」
『了解!』
お前ら二人、そういうとこは息ぴったりだよな。まあ、いいけど。仲が良いことで。あきれるぜ。
バリンッといい音を立てて硬い外装は壊れ、赤い核が見えた。アルルの冷気を含んだ風と俺の熱気の爆弾。冷たさと熱さを急激に繰り返したことで脆くなったのだ。
「おりゃぁぁぁぁ!」
珍しくコンスが叫んだ。赤い核を破壊した。
「終わった!!!」
コンスは叫んでいる。まだ余裕がありそうだ。あれだけ長時間戦ったのにタフだな。
「終わったか?」
呑気にレティが声をかけてきた。
「おい! お前らは何してる?!」
「晴れてきたし、いい天気だから、お茶してる」
バルトはほのぼのしている。火を起こし、お湯沸かして、持ってた茶葉でお茶をいれている。クッキーまである。
「チーズケーキ屋のゾーイがくれたクッキーだ。アルミーもお茶にしないか」
なんかそれは、食べないと色々マズい気がする。
「先に幻の花を摘んだ方がいいよ。お茶はその後」
いろいろな安全を考慮してだろう。アルルが普段はしない低めの声で忠告する。
「了解。俺でいいか?」
「早く摘んでよ。リーダー!」
俺はその美しい花を摘んだ。花の採集専用の箱に入れた。錬金術師御用達のアイテムのことを考えられまくった採集に向いている箱だ。
「よし、マンモスもそこに倒れているのでいいだろう。俺の分もお茶。ゾーイのクッキーくれ。全部よこせ」
「はぁ? これは、全部アタシのなのに、好意で分けてやってるんだ! いい加減にしとくれ!」
「はいはい、喧嘩しないの!」
俺とレティが喧嘩しそうだと、いつもバルトが止める。いつも通りだ。笑っちゃうほどな。
「ボクもお茶~」
アルルがフラフラしながら来る。
「なんとか終わりましたね」
「ああ」
さわやコンスが鼻につくので、本当は無視したかったが、俺は答えた。さわやコンスとはさわやかなコンスは鼻につくの略だ。
「じゃ、あとはマンモスの肉を保存、持ち帰りできるようにして帰るか」
バルトがお茶に癒されるのか、ほのぼの言っている。さっきから、妙にイライラする。平和ボケしてんなよ!
俺達とアルルとコンスの冒険は一旦、ここで終わりだ。
もしかして、また、あの二人をレンタルしたら、俺のこの語りとまた、会うかもな。