24.レンタル冒険者編Ⅲ(番外編アルミー視点)

  実力もわかったことだし、さっそく本題のクエストに向かうことになった。雪山のマンモス退治だ。食糧として退治してほしいとの要望だ。報酬はいい。そして、咲いたままドライフラワーになった”枯れない花”を探すことがこのクエストの目的だ。

「雪山はじめてかも」

 アルルが身震いをしていた。雪山は過酷だ。だが、俺達は慣れている。雪山のクエストは誰もやりたがらないので報酬がいいのだ。そして、俺達と相性のいいクエスト場所だ。

「僕は何度かあるかな」

 コンスは慣れた調子で準備していた。雪山で訓練させられて、と言っているが誰に?とは怖くて聞けなかった。雪山訓練なんて軍隊か格闘家ぐらいしか聞いたことない。コンスはどんなところにいたか謎すぎる。

「明日、出発する!」

『はーい!』

 俺の号令に皆、元気よく返事した。レティの声は聞こえてこないが。

「俺達、こんなとこまできたんだな」

 その日の夜、バルトとレティが俺の泊まっている宿屋の部屋にきた。いろいろ諸事情があって、俺だけ一人部屋だ。バルトがそう口を開いた。

「そうだな。最初はまるでごっこ遊びみたいたった」

 バルトとレティ二人のパーティに俺とファラットが合流して、最後にリラが仲間になった。リラは最強だ。女性ながらにして拳闘士。小柄で可憐な見た目と違う豪快さを持つ男らしい女性だ。若干乙女チックなファラットとはお似合いだ。

「アタシたち激弱だったもんな」

 レディ珍しく優しく言う。

「スライムに一苦労だったもんな」

「聞いた? アルルたち、まだスライム倒してないんだって」

「二人ともそんなに弱そうに見えないけど」

「なんか、事情があるんじゃない?」

 スライムを倒せない事情という字面だけをみると、とんでもなく間抜けっぽい。どんな事情だ。(本編火竜編で明らかになる予定)

 三人口々に喋りまくってる。順不同。俺はめんどいから説明しない。誰が喋ってるか当ててくれ。

「明日、見つかるといいな。枯れない花」

「今回で何度目だっけか?」

「3回目だ」

「三度目の正直になるか」

「そうなってもらわないと困る。早くしないと子供が産まれちまうよ。私のリラが悲しむじゃないか」

「リラはレティのものじゃないよ」

「相当な幸運の持ち主の前にしか現れない幸運の花。コンスとアルルはどうかな?」

「あの二人未知数だよな。アルルだけでも吟遊詩人で風使いってだけでレアだし、コンスの剣みたか? あんなに切れ味のいい剣、見たことあるか? 剣技の腕も相当だ。あんなに若いのに」

「柄に王家の紋章が刻んであった。アタシは盗賊だからね、ついつい見ちまうのさ」

「それって、持ち出されたっていう王家の家宝? 行方不明の勇者の剣ってこと?」

「バルト、それはトップシークレットだよ。容易に口に出すと怖い王都の騎士団に消されちまう」

「それにさ、吟遊詩人も登録するのに資格があるんだ。俺も一応、錬金術師で登録してある。需要がないから、普段はアイテム士だけどさ。錬金術師の証明書がないと登録できない職業なんだ。他の職業と違って。特殊なんだよ。証明書を取るには錬金術師の学校を卒業して国家資格を取得しないといけない。ものすごい狭き門だ。せっかくだから、吟遊詩人に登録だけしてみたくてギルドに申請したけど、門前払いだった。悔しくてしつこく理由を聞いたら、しぶしぶ教えてくれた。その人も詳しく知らないらしいけど、吟遊詩人と名乗ることができるのはある一族の中でも特別な人間だけだそうだ。登録は一カ所でしかできなくて、専属の審査がある。かなり特殊な職業だ。一般の人は通ることごできないらしい。だから、アルルは特別なんだ」

「公には広まってない事実だね」

「そう考えると、あの二人、結構闇背負ってないかい?」

「それは、今は問題じゃないだろ。この冒険、楽しみすぎないか?」

「今回は期待できるね」

 バルトが楽しそうに笑ったけど、いちいち怖いんだよ、腹黒そうな笑顔で。実際、腹黒だし。普通設定装ってたのに、消えたな。

 こうして、俺達の夜は更けていった。

 






コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です